ネグレクトとはどんな状態のこと?起きてしまう原因と対処法
子育て中のパパママなら、子どもに対してイライラしたり、ときには感情が高ぶって叩いてしまったり、言葉でちょっと脅してしまうこともありますよね。自分でも「これって虐待じゃないの?」と不安に思ったことはありませんか?
あるいは、よその家庭だけど、「ネグレクトじゃない?」と疑ったことがある人はいませんか。今回、ネグレクトとはどんな状態のことなのか、児童虐待と比べてみたいと思います。起こってしまう主な原因と対処法もぜひご参考くださいね。
ネグレクトとは?「neglect」の定義と4つの種類

ネグレクトは、児童虐待のひとつとされていますが、さらに、状況によって4つの種類に分けることができます。
ネグレクト・児童虐待の定義
厚生労働省の「子ども虐待の援助に関する基本事項」によると、児童虐待についてそれぞれ次のように述べています。
「【身体的虐待】
児童の身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴行を加えること
【性的虐待】
児童にわいせつな行為をすること、又は児童をしてわいせつな行為をさせること
【心理的虐待】
児童に著しい心理的な外傷をあたえる言動をすること
【ネグレクト】
保護者としての保護や教育などの監護を怠ること」
【参照:厚生労働省「子ども虐待の援助に関する基本事項」】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/01.html
ここで、ネグレクトが心理的・身体的虐待と同じではないワケがあります。ネグレクトの多くの親は、わざと子どもに危害を与えようとしているわけではないと考えられているからです。
4つのネグレクト
ネグレクトはさらに4つに分けられています。
「【身体的ネグレクト】
一人で長期間放置したり、成長に必要不可欠な食物を与えなかったりする
【医療的ネグレクト】
予防接種や病気の治療を受けさせない
【情緒的ネグレクト】
情緒的支援をしない
【教育的ネグレクト】
学校へ入学させない、出席させない」
【参照:厚生労働省「e-ヘルスネット」】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-046.html
子をもつ親の役割は、本来、衣食住を整えることで子どもの身体的な発達をサポートし、心理的に安心できる環境を作り、そして、必要な教育の機会を与えることです。ネグレクトは、その大切な役割を放棄している状態をいいます。
育児ネグレクトが起きてしまう原因とは?

令和元年度に全国212か所の児童相談所によせられた相談数は193,780件あまり、年々増加の一途をたどっています。相談の内容は、家庭内DVや言葉による脅しなどによる心理的虐待が55%を超え、暴力などの身体的虐待が25%、ネグレクトが18%と続きます。
【参照:厚生労働省「令和元年度児童相談所での児童虐待相談対応件数」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000766177.pdf
親の義務を果たさず育児放棄をしてしまう原因はどこにあるのでしょうか。
経済的な貧困
生活基盤が弱い場合には、満足な食事や清潔な衣類、快適な住環境を整えることができません。とくに母子世帯では、母親が安定した収入を得ることは難しく、育児に十分な時間をかけることもできません。ひとり親世帯における母親のネグレクト発生率は、二親世帯とくらべると高いといわれています。
育児に関する知識不足
また、望まない妊娠などで育児に関する知識が不十分であることも考えられます。とくに乳児の時期は、授乳や離乳食など手がかかります。また、乳幼児にかかりやすい病気についての知識がないと、予防接種や乳幼児健診を受けない判断をすることもあるでしょう。
外部ネットワークからの孤立
身近に育児をサポートしてくれる人がいない場合にも、ネグレクトが起きやすいようです。育児は孤立しやすく心理的なストレスも大きいですが、自治体のサポート機関や民間のネットワークもたくさんあります。
ネグレクトや児童虐待への対処法は「相談」

ネグレクトを含め児童虐待は、育児中の親ならだれにでも起こることです。子どものちょっとした態度にイライラして怒鳴ってしまったり、怒りを通りこして頬をひっぱたいてしまったり…みなさんも心当たりがありませんか。
でも、そんなときどうしたらよいのでしょうか。まずは家族や友人など、信頼できる人に相談するとよいですね。話を聞いてもらうだけでも気持ちがラクになるはずです。また、自治体の相談窓口ではいつでも相談することができます。以下のダイヤルから、お住まいの児童相談所に自動的につながりますよ。また、近隣の子どもがネグレクトや児童虐待の疑いがある時も、こちらでご相談ください。
・児童相談所全国共通ダイヤル:189(はやく)
認定特定非営利活動法人の児童虐待防止全国ネットワークによる調査によると、年間50人以上の子どもたちが虐待によって死亡しています。その半数が0歳~3歳です。幼い命を助けるためにも、迷わず相談することが大切です。
【参照:児童虐待防止全国ネットワーク】
http://www.orangeribbon.jp/about/child/data.php
まとめ

ネグレクトとは、その他の児童虐待と違い、わざと子どもに危害を加えようとしているわけではないことが特徴です。経済的な貧困や育児に対する知識不足、誰に頼ってよいのか分からないことが主な原因です。
しかし、年々児童虐待に関する相談数が増加していることや、毎年亡くなってしまう子供たちがいることは事実です。行政のサポートも必要ですが、家族や同じ地域に住むコミュニティーの助け合いも大切でしょう。あなたの「相談」が、大切な命を救うものになるかもしれないからです。